【連載:天真爛漫】第6話「好きな人」

後日、エリカと池袋で待ち合わせをし、フレンチビストロで気軽にコースを味わえるお店に夕飯を食べに行った。

エリカはとても明るくて、天真爛漫という言葉がぴったりな女の子だった。
お酒が好きで興味のあることには貪欲に行動するアクティブな性格だった。
とにかく明るく元気で健康的な、しかも育ちもしっかりしていそうな、そんなイメージ。
若いとは感じているけれど、まだ年齢は聞いていない。

財布と獺祭のお礼のやり取りの後はお互いに何をしているのかを話し、一通り話終わったところで次の共通的な盛り上がりそうな話題に移った。

「彼氏さんはいらっしゃるんですか？」
「いえ、今はいませんが前に付き合っていた人と今度会うことになっていて、やり直してもいいかなと思ってるところです。」
「まだ好きなんですね！」
「そうですね、あまりやり直したいと向こうが思ってる気はしませんけど、今から落ち着かないです。」
「それはドキドキですね。やり直せるといいですね、応援します。いつ頃会うんですか？」
「明後日、渋谷で夕方会います。」
「うわ、すぐですね！」

そんな話を聞いてしまったら、こっちから切り出したいと思ってきた僕の気持ちは切り出せなくなった。

僕はとりあえず見守ることにした。

1軒目から2軒目に移り、お酒をたくさん飲んで話をしたところで終電の時間になったので、僕らはバイバイした。

明後日かあ、どうなるか気になって仕方がない。
さて、タバコでも吸うか。もう少し飲みたい気分だった。
（続く）