Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載:多重人格彼女】第6話「もう一軒!?」

終電ギリギリに迫った時間の中、僕らは駅に向かうべく2軒目を後にしたが、アゲハが立ち止まった。


「あの...もう1軒行きませんか...」


僕もアゲハもお酒が入っていたけれど、アゲハは軽いロングのお酒を少しずつ飲んでいたのであまり酔っ払っているようには見えなかった。
一方で僕は1軒目から順調に摂取アルコール量を増やしていたので乱れない程度には酔っ払っていた。


僕は家に帰りたかったのでお酒が入っていなければ何があろうと帰る選択をしていたと思う。でも、お酒が入っていたので思考回路がまだ飲めるかどうかの二択の判断が主になってしまっていた。後から冷静に考えれば、終電を逃したら朝まで一緒にいることになるのは容易に想像がつく。その時はそこまで頭が回らなかった。


酔っ払った僕の脳は、まだ少しなら飲める、という結論を出し、こう答えた。


「帰らなくて大丈夫なんですか?従兄弟さんも心配しているでしょうし。僕は明日何も予定ないので大丈夫ですけど...」


するとアゲハがまた同じことを言う。


「今日は帰りたくないんです...」


わかりました、と答えて僕らは3軒目の店に向かった。新宿で知っている唯一の店に行ってしまったので3軒目の候補が思いつかない。
歌舞伎町のコマ劇場辺りに行けば何かあるだろうと安易な考えで僕らはそこへ向かった。


コマ劇場辺りに来た僕らは適当な居酒屋へ入った。


3軒目で最初の飲み物を頼んだ直後くらいから僕は強烈な眠気に襲われ始めてしまった。
まだ終電が終わったばかりで朝までは結構長いのにマズい状況になったと感じていた。


「ジュンさん、大丈夫ですか?」


遠くからそんな言葉が聞こえたような気がした。
(続く)