【連載】第4話「行き場のないロングスカート」
「あの、ウチきます?」
一瞬張り詰めた空気が目の前を通り過ぎて、次の瞬間「うわ、何を言ってるんだ自分は」と冷静さを取り戻した。
その一言を取り消せるなら今すぐ取り消したい。タイムマシンで10秒前に戻れるなら誰か連れてって!
そこからはもう、その一言を正当化するための言い訳がましい言動に終始するしかなく
「休んだ方がいいですよ」
「もうふらふらじゃないですか」
「連絡来るかもしれないし、その間だけでも」
「wpmjpagd@w@tpjpwgmj(覚えてない)」
その間、ずっと黙って聞いていたロングスカートの女性だったのだが、たくさん言い訳がましい言動をしているうちに、きっかけは忘れてしまったがウチに来ることになっていた。
後日、酔いが覚めて冷静になったときに、何故ウチに行くことにしたのか聞いてみたのだけれど「優しそうだったから」と素っ気なく答えてくれたのを覚えている。
自宅が近くか聞いて近くならタクシー代くらい出して帰してあげるべきだった、とか振り返って考えたら思いつくのに、そのときはそんな機転は一切効かなかった。お酒飲んで頭が働いていなかったのだろう。
二人でウチに帰った後は風呂にも入らず直ぐに寝てしまった。合計10時間くらいずっと飲んでいたのだから無理もない。
そんな爆睡を経て、翌日事件は起きた。
(続く)