Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載】第1話『夜明けのロングスカート』

2017年11月初旬、僕はいつものように独り、飲み歩いていた。

 

婚活をはじめてから10ヶ月、何度か会う人はいたものの進展が見られなかった。そんな現状に未来が見えなかった。薄い雲に包まれているような手探りの日々が延々と繰り返されていた。
もやもやして、すっきりしない、そんな日々をずっと過ごしていた。

 

その日は夕方から飲み始め、気づいたら翌日の朝4時頃になっていた。
スーツを着ていたことは覚えているがその日の日中に何をしていたのかは、あまり覚えていない。
普段は遅くとも1時、2時には切り上げて帰宅する。その日は嫌なことがあったのだろうか、空が明るくなりかけるまで飲んでいた。

 

心が満たされない消化不良な状態を抱えたまま、飲み屋を出てタクシーを拾う。

普段、飲んだ後、すぐに家に帰るのは気がすすまないので、大概はコンビニで何か買い物をする。
その日も同じだった。

自宅近くのコンビニの前でタクシーを降り、コンビニへ入った。何が欲しいわけではないが、いつも買う飲み物を探した。

しかし、その飲み物は人気で売り切れていた。仕方なく別の飲み物を買い、コンビニを出た。

 

コンビニを出て駅から離れる方向にある自宅へ向かって歩き出すと自分の前に、明らかに酔っ払いフラつきながら歩いているロングスカートの若い女性が目に入った。


どこに行きたいのか、駅からは相当離れた場所だし駅とは反対方向なのだ。

「きっと自宅へ帰る途中なのだろうな、じゃないとこんな駅から離れた場所でふらふらしているわけがないよな」などと考えていた。

女性を追い抜こうかという距離まで縮まったとき、その女性はいきなり民家の玄関ドアの前に座り込んでしまった。

(続く)