【連載:天真爛漫】最終回:第10話「告白」
元彼と20分ほどでバイバイしたエリカと会った。
一昨日、夕飯に行き
昨日、朝バイバイし
今日、また会った。
再会したときのエリカの表情は悲しげだった。一昨日や居酒屋バイトのときにはしていなかったピアスが今日の期待度の高さを表現しているように感じた。
元彼とやり直せない結果になったのだから悲しいのは当然として、そんな喜怒哀楽を素直に表現できるエリカが本当に好きだった。
最初は元彼とどんな話をしたのか聞いていたけれど、飲みながら話をしているうちに元彼の存在感は消えていた。
その日は無難に早めに切り上げ、ちゃんと電車で帰った。
その後も度々会っては飲みに行き、僕らはたくさん話をした。
その中で僕がエリカに好意を持っていることは何度か伝えていたが付き合うまでには至らなかった。
1か月で10回以上会っていたので、だいぶお互いのことは知っている状況にまでなってきていたが付き合うことは断われ続けていた。
その後2,3回は好意を持っていることは言わなくなっていたが、初めて会ってから2か月くらいしたとき、また好意を伝えてしまった。
さすがにしつこい自分!
と反省していたら、突然エリカが言った。
「いいよ。」
え、どういうこと?と返したら
「付き合うんでしょ?いいよ。」
急に付き合ってもいいとなってびっくりしたけれど、それ以上に嬉しかった。
つい、大きな声で
「やったー!」
と叫んでしまった。
「うるさいから」
エリカはそう言い、恥ずかしそうに、はにかんだ笑顔を僕に見せてくれた。
(終わり)