Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載:天真爛漫】第8話「寝不足?」

エリカはどんな顔をしたらいいのか迷ってる表情のまま、僕のいる喫煙所まで小走りでやってきた。なんでも魅力的に見えてしまうのは酔っているからなのか、好意を抱いているからなのか、なんなのだろう。


エリカは世間的には細くて美人というようなタイプではなく、バリバリ運動部で活動してきました!というような女子ソフトボール部にいそうな健康優良児だ。


そんな元気モリモリな彼女も、その日は寝不足だったらしく、電車に乗る前から眠気に勝てないくらいな状況だったらしい。


合流したときから既に眠そうな状況の中、僕らはとりあえず3軒目に入った。


終電から1時間と少し経過したくらいしたとき、会話が途切れた瞬間、エリカは度々寝そうになっていた。


「明日は朝から学校?」
「はい、朝10:00からです。」
「帰りましょうか、タクシー代渡すから帰った方がいいよ」
「いえいえ、そんな、大丈夫です。私が間違えたのに申し訳ないですし。」
「ものすごく眠いみたいだし、お礼し足りないなあと感じていたから全然気にしなくて大丈夫だよ。」
「いえ、本当に大丈夫ですから...」


頑なに譲らない。意志の強い人なんだな、という印象が追加された。
この提案をしたのは、実は僕が帰りたかったからなのだ。次の日も仕事だったから僕も寝ないと持たない。でも、頑なにお金を受け取ることを拒む彼女に対して、それを言うと追い詰めて困らせてしまいそうだったから言えなかった。


僕とエリカの家は電車で1時間半くらい離れていて方向も逆だったので、タクシーに一緒に乗る提案もしにくい。


そんなこんなしているうちに本格的に寝ないと次の日の仕事がヤバい時間になってきていた。


何もするつもりもなかったが、選択肢が思いつかなかったので、僕は提案した。


「あの、僕も明日会社があるので寝ないといけないし、ホテルに泊まろうと思っていたので、もし嫌じゃなかったら一緒にホテルに行かない?変な意味じゃなくてツインの部屋ならあまり値段が変わらないので負担もないし。寝たいし。」


エリカは少し考えて答えた。


「わかりました。そういうことなら」


そう言って、エリカと僕は部屋の取れたビジネスホテルへと向かった。


翌朝、気づいたら朝の8時を過ぎていた。
僕もエリカも爆睡してしまった。
お互いに遅刻寸前になり、電車では間に合わない時間になっていた。


結局、エリカは本当に申し訳なさそうに、きっと本意ではなかったのだろうけれど、僕からタクシー代を受け取り、大学へ向かった。僕もタクシーに乗り、会社へ向かった。


結局受け取るなら昨日帰ったらよかったのに(笑)そんなことを思いながら、寝不足だったのに何故か気分は清々しかった。
(続く)