【連載:天真爛漫】第4話「再会」
店を出て、相談者と別れた直後、僕のスマホに東京03からの着信が。
「もしもし、先ほど獺祭をオススメしたエリカです。あの、お店にお財布忘れませんでしたか?」
突然の着信はエリカだった。でもどうして番号がわかったんだ?
その疑問に答えるようにエリカが続けた。
「お財布の中にお名刺が複数枚入ってましたのでご本人のものかなと思って電話してみました。違う人に繋がらなくてよかったです。あはは」
電話越しに聞こえてくる笑い声から笑顔が想像できた。心地よい。
と悠長なことを考えている場合ではない。
「財布!?まさか忘れるわけ...ない...あれ...おかしいな...あり...ませんね。あはは」
僕もエリカを真似て笑ってみた。
電話の向こう側でクスッと笑いを我慢するような声が聞こえた。
「あの、もしよろしければまだ店に居ますので取りにいらしてください。」
「ありがとうございます。では、これから取りに戻りますね。」
エリカとの2回目の再会を願っていた僕は、1回目に別れたその10分後、エリカと再会することができた。
店に着いて財布を忘れたことを近くにいた店員さんへ伝え、エリカを呼んでくれた。
エリカと再会したとき、僕とエリカは顔を見るなり笑いあった。
(続く)