【連載:天真爛漫】第1話「転職相談の居酒屋」
普段、僕はお客様先の企業に常駐して支援/助言などを行っている。トラブルを未然に防ぐ仕組みを作ったり、トラブルになってしまった業務を立て直すのが主な仕事だ。
企業の問題解決に尽力して結果を出し続けている仕事をしていると、その職種に興味を持ち同じ仕事をしたいと相談してくる人が現れてくる。
今回もそんな人が現れた。
どうやってスキルを伸ばしてきたのか、どうやったらコンサルティングファームへ転職できるのかを聞きたいからと飲みに誘われた。
僕はそういう相談には気軽に答える方なので今回も快諾した。
待ち合わせは飯田橋。
適当に入れそうな居酒屋に僕らは入った。
居酒屋に入ってから最初の一杯を頼み、何を食べるか選んでいたら、相談者がヘシコというものを頼んだ。
食べたことはなかったけど、日本酒に合うと言っていたとおりのものすごい塩っぱさで僕らは日本酒を頼もうという意見で一致した。
当時、僕はまだ日本酒を飲み慣れていなかったので銘柄にも味にも詳しくなかった。
店員さんを呼ぶボタンを押し、店員さんがやってきた。
「何になさいますか?」
そう聞いてきた店員の屈託ない笑顔がとてもいい印象だった。
「あの、あまり日本酒の銘柄とか詳しくないんですが、何かオススメありますか?」
僕はその店員さんに質問した。
するとその店員さんは僕に提案をしてきた。
「今、6つの日本酒を飲み比べできるサービスやってるんですが、それをお持ちしましょうか?」
そう言った店員さんの、なんとも言えない真っ直ぐな純粋さに魅力を感じた。
「ステキな提案をありがとう!じゃあそれでお願いします。」
このやり取りが僕とエリカの出会いだった。