Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載:多重人格彼女】第14話「気づき」

僕がホテルで感じた奇妙な感覚は、他の人格に交代したことをなんとなく感じたからだということがわかった。電気を消してからはアゲハではなかった。だからしたいと思わなくなったんだということが自分の中で納得できた。


つまり、僕はアゲハが好きなんだと気づいた。
僕はアゲハに質問をした。


「ねえ、聞いていい?答えにくければ答えなくていいから」
「うん、なあに?」
「何でホテルへ行こうと思ったの?」
「私が無理させてしまったし、横になりたいって言ってたから、なんか申し訳なくて。ゆっくり横になれるところで近くにあったのがホテルだったのもあるし」
「でもさ、カラオケボックスでよかったんじゃない?」
「それも考えたけど、なんとなくホテルがいいなと。ジュンとなら行ってもいいかなと思って。」
「そっかあ、あともうひとつ。電気が消える前まではアゲハだったんだよね?」
「え...うん...」
「ということは僕を受け入れてもいいと思ったのはアゲハだってことだよね?」
「......そ、そうなりますね...」
「どうして?」
「どうしてって何がですか?」
「さっきいつもは知らない間に終わってて、した感覚だけが残ってる、みたいなことを言ってたから、こういうことを頻繁にしてるのかなっていう素朴な疑問があって。つまり、誰でもよかったのかどうかってこと」
「そんなわけないじゃん」
「ごめん、失礼なこと言った。取り消す。ほんとごめん。ということは、僕だったから僕としてもいいって思ってくれたってこと?」
「......そ、そうなりますね...」
「なんで?」
「なんでって言われても...ジュンに抱っこして欲しいなあって...」
「なるほど」


話せば話すほど疑問が湧いてくる。
アゲハはエッチの直前に必ず人格が交代するのか、いつもは知らない間に終わっているといういつもとはいつの話なのか。


僕は我慢できず、アゲハに可能な範囲で答えてくれたらいいからと言って質問を続けた。
(続く)