Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載:多重人格彼女】第10話「奇妙な感覚」

電気を消してから、僅かな沈黙の時間があった。その直後、奇妙な感覚に襲われた。


流れてくる空気が何かおかしい、感情の高まりがなくなった、などいろいろ表現してみるも、うまく言葉では言い表せない感覚に支配された。


単純に言うと急にその気がなくなったということだ。


血気盛んな24歳、目の前には魅力的な濡れ髪バスローブの21歳女性が横たわっている。そんなことは有り得ないはずなのに何故そういう気分ではなくなってしまったのか。
そのときは自分でも不思議でたまらなかったけど、その理由は後日明らかになる。


結局、僕らは電気を消した後、何もせずチェックアウトギリギリまで寝た。


再び目覚めたときにはアルコールは抜けていたが頭が少し痛かった。
寝不足でいつも通りの量のアルコールを摂取すると身体がついていかないことを学んだ。


「昨日と今日、無理言ってすみませんでした。一緒にいてくれてありがとうございました。」
「近いうちにマシロも来る飲み会あるから予定大丈夫ならこない?」
「はい、是非」


僕らは連絡先の交換をして新宿駅でバイバイした。
アゲハは僕が見えなくなる直前まで僕を見送ってくれた。


その日の夕方、ふとアゲハが家に帰ってからの従兄弟とのやりとりが気になってメールを送った。


しばらくしてアゲハから返信があった。
(続く)