Junの徒然

思いのままに綴るブログ

【連載:多重人格彼女】第3話「電話の向こう側の人」

僕はアゲハが電話で話をしていた人が誰なのか気になって仕方がなくなってしまった。


アゲハが電話を切ったのを確認してすぐさま僕はアゲハに話しかけた。


「大丈夫でした?なんか怒られたりしました?」
「ま、まあいつもこんな感じなので大丈夫です。怒られるのは私が悪いからだとわかってますし。」


アゲハが答えれば答えるほど謎は深まるばかりだった。想像がつかず答えが知りたくて我慢できなくなり聞いてしまった。


「両親とかからでした?でも敬語だったし違うかな」
「えっと、私の従兄弟です。」
「従兄弟ですか…」


従兄弟なら敬語で話すことはあるかもしれない。
でも、何故謝ったり怒られた風になるんだ?さっぱりわけがわからない。


気になって居ても立っても居られなかったけれど、これ以上の深掘りはできないなと思って僕は話題を変えた。


「実家はどちらですか?」
「茨城です。」
「じゃあ一人暮らしされてるんですか?」
「い、いえ、一人暮らしはしてません。」
「ん??友達とか姉妹で暮らしてるんですか?」
「いえ…従兄弟とです。」
「さっき電話してた従兄弟!?」
「はい」
「男の人ですよね?結構年離れてます?」
「はい、10歳くらい離れてます。」
「まあ親戚と一緒に住んでるって感じなんですね。」
「まあ...そんな感じです。」


話題が元に戻ってしまって困った。
というか従兄弟と男女で二人暮らし、しかも敬語で話す距離感に違和感しか感じなかった。


「僕は別にアリだとは思ってるんですけど、もしかして従兄弟と付き合ってたりするんですか?」
「いえ、私は付き合っていません。」
「そうなんですね、普通に親戚同士が一緒に住んでいる感じなんですね。」
「まあ...そんな感じです。」


これらの一連の会話、何かがおかしい。でも何がおかしいのかわからない。
私は付き合ってないってことは従兄弟さんには彼女がいるってことだよな。いてもいいか。おかしくないかも。


そんなこんなで1時間くらい飲み屋で会話をしていたら、またアゲハの携帯が鳴った。
また従兄弟からだった。
(続く)