【連載】第9話「ロングスカートの女性のいるウチに」
ロングスカートの女性のスマホで自分のスマホがどこにあるか地図上で特定できたものの、その位置はどんどん移動していた。
家の近くを示していた地図上の印を目指し、全速力で走るも、車には追いつけなかった。
スマホの位置はどんどん移動していく。
自宅からどんどん離れていく。
そして、駅前のタクシープールで止まった。
タクシーの中にあるのは間違いない!!
すぐさま、駅まで向かおうとした次の瞬間、タクシーがまた動き出してしまった。
しばらく、どこへ向かうのだろうと地図上の印を見ていたら、どんどん自宅の方へ向かってきているのがわかった。
そして、昨日行ったコンビニ付近で止まり、そこからピクリとも動かなくなった。
今しかない!
またもや全速力で昨日行ったコンビニまで走った。走り過ぎて息が苦しくて仕方がない。
ようやくコンビニに着いたときにはタクシーの姿はそこにはなかった。
息を整えながら諦めかけて地図上の印を見たら、まだその印はコンビニを指していた。
どういうことだ!?
とりあえずコンビニに入り、スマホの落し物がないかどうかを聞いてみた。
そしたら、あった!!
タクシーの運転手さんが、何故か近くのコンビニに落し物として預けて行ったのだった。
タクシーの運転手さんにはイラッとしたものの、スマホが手元に戻ってきた喜びの方が強くてどうでもよくなった。
スマホを受けとった後、僕はすぐにロングスカートの女性のいるウチに戻った。
(続く)