【連載】第7話「ロングスカートの女性のスマホ」
スマホが見当たらず、昨日ウチに泊まったロングスカートの女性からスマホを借りて、昨日最後に行った店に電話をした。
「スマホが見当たらなくて、店にないですか?」
聞いてみるも「ない」という返事
店との電話の直後、ふと思い出した。
今日の夕方、お見合いの予定を入れていたことに。
慌ててお見合いの延期を依頼するために電話をして事情を説明した。快く了解してもらえたのでホッとひと安心
いったんここまでの情報を整理してみた。
無くした場所は家、タクシー、最後にいた店のどこか。しかし、家にも最後にいた店にもなかった。残るはタクシーしかない。
しかし、どの会社のどの車両のタクシーに乗ったのかは領収書をもらわなかったのでわからない。
八方塞がりだった。
でもよく考えたら、昨日乗ったタクシーは駅前からだ。駅前のタクシープールに入れるタクシー会社は限られているはずだった。
そう考えてからの僕の行動は早かった。
駅前のタクシープールに乗り入れているタクシー会社を全部調べあげ、ひたすら電話してスマホの忘れものがなかったかを確認していく。
これで見つかるはずだと確信していた。
全部のタクシー会社に電話した後、思考停止に陥ってしまった。どのタクシー会社にもスマホの忘れものは届いていないという。とりあえずタクシー運転手から連絡があったら電話をもらえるよう各社にお願いをして電話を切った。
もうやれることが尽きた後、ロングスカートの女性にこれまでの経緯を説明した。
本当はもう帰りたいと思っているだろうに、スマホの見つからない状況と連絡が来るかもしれない状況を理解してもらえていたからか、ロングスカートの女性からは帰りたいという発言もなくウチに居てくれた。ロングスカートの女性に対して申し訳なさすぎて心が押し潰されそうになった。
ふと思い出したかのようにロングスカートの女性のスマホを再確認した。いや、するまでもなくiPhoneだった。僕のスマホもiPhoneなのだ。
あ!!
「iPhoneを探す」
みたいなアプリなかったっけ!?
iPhoneが今どこにあるか探すことができるかもしれない。僕は最後のチャンスとばかり「iPhoneを探す」アプリをiPhoneで調べはじめた。
(続く)