【連載】第2話『座り込んだロングスカート』
朝4時過ぎに民家の玄関ドアの前に座り込んでしまったロングスカートの女性、さすがに飲み過ぎたのだろう。
「気をつけて帰ってね、誰かに拾われてしまう前に」などと心の中で思いながら女性を横目に追い抜いた。
追い抜いた直後、やっぱり気になってしまい、心配だったので一言だけ声をかけた。
「大丈夫ですか?」
女性は酔っ払っている割にしっかりした声で
「大丈夫です」
と強めの口調で、僕に対するアカラサマな警戒心とともに言葉を発した。
まあ、そういう反応になるよな、と苦笑しながら
「気をつけて帰ってくださいね、では」
と笑顔で言葉を残し、僕は再び自宅へ向かって歩き出した。
歩き出してから少し経って、欲しい飲み物がやっぱり飲みたくなり、自宅ではない別のコンビニへ向かった。そのコンビニには目当ての飲み物が残っていたので買うことができた。
目的を達成した僕は歩いてきた道を戻る方向に自宅へ歩き出した。先程の女性が座り込んでいた民家の玄関ドアの前を再び通りすぎた。
その場所にはもう誰もいなかった。
あの女性はちゃんと家に帰れたのだろうか。
何故か無性にその女性が気になっていた。
民家の玄関ドアを通り過ぎ、自宅の方向へ歩き続けた。
もうすぐ自宅へ着くという場所まで差し掛かったとき、見覚えのあるロングスカートが目の前に飛び込んできた。
(続く)